過労自殺:有料老人ホーム職員 損賠訴訟で認定 群馬
2010/11/05
群馬県桐生市の有料老人ホーム運営会社「メディスコーポレーション」の事務職員だった小林克弘さん(当時43歳)が、うつ病を発症して自殺したのは過労が原因として、妻康子さん(50)ら遺族4人が慰謝料など計約1億1580万円を求めた訴訟で、前橋地裁(西口元裁判長)は29日、同社に約6590万円の支払いを命じた。西口裁判長は「過重な緊張と長時間労働を強いられて発症し自殺に及んだ」と述べた。
判決によると、小林さんは財務経理部長としてジャスダック上場を目指していた04年7月ごろ、うつ病を発症し、同年8月、前橋市内の路上に止めた車の中で練炭自殺した。発症前の半年間のうち5カ月は時間外労働が月100時間を超え、月約229時間に及ぶこともあった。同社は「弁護士と今後の対応を決める」としている。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20101030k0000m040051000c.html
弁護士のコメント
私、波多野が労災段階で担当し、労災認定後の損害賠償請求訴訟において、松丸弁護士とともに担当した事件です。この前橋地裁判決は、100時間を超える時間外労働の負荷などを適正に評価して業務とうつ病との間の因果関係を肯定したうえ会社がたとえうつ病に気付かなかったとしても、そのような就労環境で稼動させている場合にはうつ病発症の危険を認識し得たとして気付かなかったという弁解を否定したもので、電通最高裁判決を適切に承継した正当な判決です。