民事訴訟:大阪市の母子殺害事件、死刑判決を破棄:最高裁判所
2010/04/28
民事訴訟:大阪市の母子殺害事件、死刑判決を破棄:最高裁判所
最高裁判所は、4月27日に大阪市の母子殺害事件で殺人罪などに問われた刑務官、森健充(たけみつ)被告(52)の死刑判決を破棄した。(平成22年4月28日の毎日新聞朝刊より)
弁護士のコメント
犯罪を犯していない人が逮捕されたり、裁判所から有罪判決を受けること自体、あってはならないことですが、冤罪事件を経験したことのある弁護士なら、いかに日本の刑事裁判で無罪判決を獲得することが困難を極めるかは共通認識になっていると思います。
この件は、死刑判決まで受けている事件で被告の方はもちろん、弁護人が受け続けていた重圧も計り知れなかったと思います。事件を担当なさった後藤貞人弁護士と陳愛弁護士は、大阪ではもちろん日本でも屈指の刑事弁護人です。
大阪の弁護士では、万一自分や家族が刑事弁護を頼むとしたら、このお二人にお願いしたい、という話になります。
数年前、私自身が捜査段階の刑事弁護で悩んでいたとき、後藤先生に助けを求めたところ、後藤先生と陳先生が私に問題点と対処方法を懇切丁寧にレクチャーしてくださり、苦境から脱することができました。被告人の方はもちろん、弁護士にとっても本当に頼りになる先生方だと思います。
弁護士1年目に少年事件の窃盗の冤罪事件を担当したことがありました。上記事件よりはるかに微罪ではありましたが(微罪であっても、逮捕勾留などされると職を失う危険に曝されたり人生が大きく変転する危険があり、罪の軽重を問わず逮捕勾留されたり裁判になるということは重大なことであります)、冤罪事件である確信があるのに有罪となってしまうのではないかという重圧は相当なものでした。この事件は幸運が重なり、家庭裁判所の審判で非行事実なし(刑事裁判でいうところの無罪にあたる)となりました。